爬虫類を飼育していると、なぜか元気がない、食欲が落ちた、骨が曲がってきた…そんな症状に気づいたことはありませんか?それは「くる病」のサインかもしれません。くる病は適切な飼育環境があれば予防できる病気ですが、放置すると命に関わることも。この記事では、爬虫類のくる病の原因から初期症状の見分け方、そして今日から実践できる予防法まで、飼育者が知っておくべき知識を分かりやすく解説します。大切なペットの健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。
【結論】くる病は早期発見と正しいケアで予防・改善できる

爬虫類のくる病(代謝性骨疾患・MBD)は、適切な飼育環境とケアによって予防可能な病気です。
初期段階で発見し、UVB照射・カルシウム補給・温度管理を改善すれば、多くの個体で回復が期待できます。
しかし、重症化すると骨の変形が残ったり、命に関わる状態になることもあります。
飼育下の爬虫類がくる病を発症する主な原因は、紫外線不足・カルシウム不足・不適切な温度管理の3つです。
特に成長期の幼体では発症リスクが高く、フトアゴヒゲトカゲ・カメレオン・イグアナなどの昼行性爬虫類は注意が必要とされています。
この記事では、くる病の原因・症状・予防法を網羅的に解説し、飼育者が今日から実践できる対策を具体的に紹介します。
参考:爬虫類のくる病とは?初心者が知っておきたい予防法と危険な…
爬虫類のくる病(MBD)とは?基本を理解しよう

くる病は、カルシウム代謝の異常によって骨が正常に形成されず、軟化・変形する病気です。
正式には代謝性骨疾患(Metabolic Bone Disease:MBD)と呼ばれ、爬虫類の飼育下で最も多く見られる疾患の一つとされています。
骨の主成分であるカルシウムが不足すると、体は骨からカルシウムを溶かし出して血中濃度を維持しようとします。
その結果、骨が脆くなり、変形や骨折が起こりやすくなるのです。
特に成長期の幼体では、骨の成長が活発なため発症しやすく、甲羅が柔らかくなる・手足が曲がる・歩きにくい・食欲が落ちるなどの症状が現れます。
参考:爬虫類のくる病とは?初心者が知っておきたい予防法と危険な…
くる病と代謝性骨疾患(MBD)の関係
くる病とMBDは、厳密には同じ病態を指す用語として使われることが多いですが、医学的には若干の違いがあります。
くる病は、主にビタミンD不足による骨の石灰化障害を指す用語で、成長期の個体に見られる骨の軟化・変形を表します。
一方、MBD(代謝性骨疾患)は、カルシウム・リン・ビタミンD3の代謝異常全般を包括する広い概念です。
爬虫類医療の現場では、両者を区別せず『MBD』という用語で統一して呼ぶことが一般的です。
本記事でも、読者の理解しやすさを重視し、『くる病』と『MBD』を同義語として扱います。
カルシウム・リン・ビタミンD3の代謝サイクル【図解】
爬虫類の骨の健康は、カルシウム(Ca)・リン(P)・ビタミンD3の3つの栄養素が適切に機能することで維持されます。
このサイクルは以下のように働きます。
【ステップ1】紫外線B波(UVB)の吸収
爬虫類が紫外線B波を浴びると、皮膚でビタミンD3の前駆体が合成されます。
【ステップ2】ビタミンD3の活性化
肝臓と腎臓で代謝され、活性型ビタミンD3に変換されます。
【ステップ3】カルシウムの吸収促進
活性型ビタミンD3は、腸管でのカルシウム吸収を促進し、血中カルシウム濃度を適正に保ちます。
【ステップ4】骨の形成
適切なCa:P比(理想は2:1)のもとで、カルシウムとリンが骨に沈着し、強い骨が形成されます。
このサイクルのどこかが途切れると、くる病のリスクが高まります。

飼育下の爬虫類がくる病になりやすい理由
野生環境では、爬虫類は自然光から十分な紫外線を浴び、多様な餌からバランスよく栄養を摂取できます。
しかし、飼育下では以下のような環境要因により、くる病のリスクが高まります。
- 室内飼育による紫外線不足:窓ガラスはUVBをほぼ遮断するため、自然光だけでは不十分
- 餌の種類の偏り:コオロギやミルワームなどの昆虫食だけでは、カルシウムが不足しやすい
- 温度管理の不備:低温環境では代謝が低下し、カルシウム吸収効率が悪化する
- 飼育者の知識不足:UVBライトの必要性や交換時期を知らないまま飼育を続けるケース
特に初心者飼育者や、ペットショップから迎えた直後の個体は、すでに栄養不足の状態であることも多く、注意が必要です。
参考:【治すことも可能】クル病と思われる症状🤕その原因と回復に…
爬虫類のくる病を引き起こす5つの原因

くる病の発症には、複数の要因が複雑に絡み合っていますが、主な原因は以下の5つに集約されます。
それぞれの原因を正確に理解することで、効果的な予防策を講じることができます。
原因①:UVB(紫外線B波)の不足
爬虫類は紫外線B波(UVB)を浴びることで、体内でビタミンD3を合成します。
ビタミンD3はカルシウムの腸管吸収に不可欠であり、UVBが不足するとカルシウムをどれだけ与えても体内に吸収されません。
室内飼育では窓ガラスがUVBを遮断するため、専用のUVBライトを設置しなければ、爬虫類は慢性的なビタミンD3不足に陥ります。
特にフトアゴヒゲトカゲやイグアナなどの昼行性種は、野生下では1日に数時間も日光浴をする習性があり、UVB要求量が非常に高いとされています。
UVBライトは使用開始から6〜12ヶ月で紫外線出力が大幅に低下するため、定期的な交換が必須です。
原因②:カルシウム摂取量の不足
餌となる昆虫(コオロギ・ミルワームなど)は、そのままではカルシウム含有量が少なく、リンの方が多い傾向にあります。
カルシウム不足が続くと、体は骨からカルシウムを溶かし出して血中濃度を維持しようとし、結果的に骨が脆くなります。
特に成長期の幼体では、骨の成長に大量のカルシウムが必要なため、毎日の給餌時にカルシウムパウダーをまぶすことが推奨されます。
また、餌昆虫に栄養価の高い餌を与える『ガットローディング』も有効な対策です。
原因③:リンの過剰摂取とCa:P比の乱れ
カルシウムとリンのバランス(Ca:P比)は、骨の健康に重要な役割を果たします。
理想的なCa:P比は2:1とされており、リンが過剰になるとカルシウムの吸収が阻害されます。
昆虫食爬虫類の餌となるコオロギやミルワームは、リンが多くカルシウムが少ないため、そのまま与え続けるとCa:P比が崩れます。
また、肉類や魚類もリンが多い傾向にあるため、カルシウムサプリメントでの調整が不可欠です。
原因④:ビタミンD3の不足または過剰
ビタミンD3は、UVB照射によって体内で合成されるほか、サプリメントから経口摂取することもできます。
しかし、ビタミンD3は脂溶性ビタミンであり、過剰摂取すると体内に蓄積して中毒を引き起こすリスクがあります。
ビタミンD3入りのカルシウムパウダーを使用する場合は、週に2〜3回程度にとどめ、それ以外の日はビタミンD3なしのカルシウムパウダーを使うなど、使い分けが推奨されます。
一方、UVBライトによる合成の場合は、体が自動的に調節するため過剰症のリスクは低いとされています。
原因⑤:不適切な温度管理による代謝低下
爬虫類は変温動物であり、体温調節を外部環境に依存しています。
適温範囲を維持できないと、消化機能や栄養吸収効率が低下し、たとえ十分なカルシウムを摂取していても体内で利用されません。
例えば、フトアゴヒゲトカゲの場合、バスキングスポット(日光浴エリア)は35〜40℃、クールスポット(涼しいエリア)は24〜28℃が理想とされています。
温度勾配を作ることで、爬虫類は自分で体温調節できるようになり、代謝機能が正常に働きます。
参考:代謝性骨疾患
【症状チェックリスト】くる病の初期〜重症サインを見逃さない

くる病は初期段階では症状が分かりにくく、飼育者が気づいたときには既に進行していることも少なくありません。
以下のチェックリストを参考に、定期的に健康状態を確認しましょう。
初期症状:この段階で気づけば回復の可能性大
初期段階では、外見上の変化が少なく見逃しやすいですが、以下のような行動変化に注意しましょう。
- 食欲の低下:いつもより餌を食べる量が減る、餌に興味を示さない
- 動きが鈍い:以前より活動量が減り、ケージ内でじっとしている時間が増える
- 後肢の力が弱い:歩行時に後ろ足を引きずるような動きをする
- 体を持ち上げられない:腹部が地面についたまま移動する
- 震え:筋肉の痙攣や震えが見られる(低カルシウム血症の兆候)
この段階であれば、UVB照射の強化・カルシウム補給・温度管理の改善によって回復する可能性が高いとされています。
参考:ヒョウモントカゲモドキのクル病:原因から対策まで徹底解説
中期症状:早急な対応が必要なサイン
中期段階になると、骨の軟化や変形が目に見えて現れ始めます。
- 下顎の腫れや変形:顎の骨が柔らかくなり、口を閉じにくくなる(通称『ラバージョー』)
- 四肢の湾曲:前肢や後肢の骨が曲がり、O脚やX脚のような形状になる
- 背骨や尾の変形:脊椎が湾曲したり、尾が不自然に曲がる
- 甲羅の軟化:リクガメや水棲ガメの場合、甲羅を指で押すと柔らかく、へこむ
- 歩行困難:まともに歩けず、移動時にバランスを崩す
この段階では、動物病院での診察と治療が必須です。
自宅ケアだけでは改善が難しく、獣医師によるカルシウム注射やビタミンD3投与が必要になります。

重症症状:後遺症リスクが高い危険な状態
重症化すると、命に関わる状態になり、回復しても後遺症が残る可能性が高くなります。
- 全身の骨がぐにゃぐにゃになる:骨がほとんど支持力を失い、体を持ち上げられない
- 病的骨折:わずかな衝撃で骨が折れる
- 痙攣発作:低カルシウム血症による全身性の痙攣
- 呼吸困難:肋骨の変形により呼吸が浅くなる
- 食事不可能:顎の変形や筋力低下により、餌を噛むことができない
- 総排泄孔脱・卵管脱:腹圧の低下により、内臓の一部が脱出する
この段階では、緊急の獣医療が必要であり、予後は非常に厳しいとされています。
仮に命が助かっても、骨の変形や神経障害などの後遺症が残ることが多く、生涯にわたって特別なケアが必要になります。
参考:トカゲが歩きづらそう、元気や食欲がない (クル病、代謝性骨疾患)
他の病気との見分け方と判断基準
くる病の症状は、他の病気と似ていることがあり、誤診のリスクがあります。
脱皮不全との見分け方:脱皮不全では、古い皮膚が残っているだけで骨の変形は見られません。
関節炎との見分け方:関節炎では特定の関節部分のみが腫れますが、くる病では全身の骨が軟化します。
感染症との見分け方:感染症では発熱や膿の排出が見られますが、くる病では主に骨の異常が中心です。
確実な診断には、レントゲン検査や血液検査が必要です。
レントゲンでは骨密度の低下が明確に確認でき、血液検査ではカルシウム・リン・ビタミンD濃度を測定できます。

【種類別】くる病になりやすい爬虫類とリスクの違い

爬虫類の種類によって、くる病のリスクは大きく異なります。
生態や食性、紫外線要求量の違いにより、予防対策も変わってきます。
高リスク:フトアゴヒゲトカゲ・カメレオン・イグアナ
フトアゴヒゲトカゲは、昼行性で紫外線要求量が極めて高く、くる病の発症率が最も高い種の一つです。
野生下では1日に数時間も日光浴をする習性があり、飼育下ではUVBライトの設置が絶対条件とされています。
また、成長期の幼体では骨の成長が活発なため、カルシウム需要が非常に高く、毎日のカルシウム補給が推奨されます。
カメレオンも同様に紫外線要求量が高く、特にエボシカメレオンやパンサーカメレオンは高リスク種です。
樹上性のため、UVBライトをケージ上部に設置し、バスキングスポットを確保する必要があります。
グリーンイグアナは、草食性で成長速度が速く、幼体期に大量のカルシウムを必要とします。
野菜類だけではカルシウムが不足しやすいため、カルシウムパウダーの添加が必須です。
中リスク:レオパードゲッコー・リクガメ
レオパードゲッコー(ヒョウモントカゲモドキ)は夜行性ですが、くる病の発症例は少なくありません。
従来は『UVBライト不要』とされていましたが、近年の研究では低出力のUVBライトがあった方が健康維持に有効との見解が広まっています。
特に幼体やメスの繁殖期には、カルシウム需要が高まるため注意が必要です。
リクガメ(ヘルマンリクガメ、ロシアリクガメなど)は草食性で、野菜や野草からカルシウムを摂取します。
しかし、飼育下では栄養価の高い野菜が不足しやすく、カルシウム補給が必要です。
また、甲羅の成長にも大量のカルシウムが必要なため、定期的なサプリメント投与が推奨されます。
参考:ヒョウモントカゲモドキのクル病:原因から対策まで徹底解説
水棲ガメ・ヘビのくる病リスク
水棲ガメ(ミドリガメ、クサガメなど)は、水中生活が主ですが、日光浴の習性があり、UVBライトが必要です。
特に幼体期には甲羅の成長が活発なため、カルシウム不足によるくる病のリスクがあります。
水棲ガメ用のUVBライトは、陸地(バスキングスポット)の上に設置し、1日8〜10時間程度照射することが推奨されます。
ヘビ類は、一般的にくる病の発症率は低いとされていますが、完全に無関係ではありません。
特に草食性や雑食性のヘビ(グリーンパイソンなど)では、カルシウム不足が報告されています。
ただし、肉食性のヘビは餌となるマウスやラットから十分なカルシウムを摂取できるため、リスクは低めです。
参考:代謝性骨疾患
爬虫類のくる病を予防する5つの対策【今日から実践】

くる病は、適切な飼育環境とケアによって予防可能な病気です。
以下の5つの対策を実践することで、発症リスクを大幅に下げることができます。
対策①:UVBライトを正しく設置する【距離・時間・交換目安】
UVBライトは、爬虫類のビタミンD3合成に不可欠な設備です。
以下のポイントを押さえて設置しましょう。
【UVBライトの選び方】
- 昼行性種(フトアゴヒゲトカゲ、イグアナ):UVB 10.0〜12.0%の高出力タイプ
- 夜行性種(レオパードゲッコー):UVB 2.0〜5.0%の低出力タイプ
- 水棲ガメ:UVB 5.0〜10.0%
【設置距離】
ライトとバスキングスポットの距離は、20〜30cmが目安です。
近すぎると目や皮膚にダメージを与え、遠すぎると効果が薄れます。
【照射時間】
1日8〜12時間程度の照射が推奨されます。
タイマーを使用して、昼夜のサイクルを再現しましょう。
【交換時期】
UVBライトは、見た目では点灯していても、紫外線出力は6〜12ヶ月で大幅に低下します。
6ヶ月ごとの交換を目安にしましょう。
対策②:カルシウム剤の正しい選び方と与え方
カルシウムサプリメントは、くる病予防の要です。
【カルシウム剤の種類】
- ビタミンD3なしタイプ:毎日の給餌に使用。過剰摂取のリスクが低い
- ビタミンD3入りタイプ:週2〜3回程度の使用。UVBライトと併用する場合は頻度を減らす
【与え方】
- 昆虫食爬虫類:餌昆虫にカルシウムパウダーをまぶして与える(通称『ダスティング』)
- 草食爬虫類:野菜にカルシウムパウダーを振りかける
- 幼体・妊娠中のメス:毎日補給が推奨される
- 成体:週3〜5回程度
【注意点】
カルシウムの過剰摂取も健康リスクがあるため、適量を守ることが重要です。
参考:爬虫類のくる病とは?初心者が知っておきたい予防法と危険な…
対策③:餌のバランスとガットローディングの実践
餌の栄養バランスを整えることで、くる病のリスクを大幅に下げられます。
【ガットローディングとは】
餌昆虫に栄養価の高い餌を与えてから、爬虫類に与える方法です。
コオロギやミルワームに、カルシウムを含む野菜(小松菜、チンゲン菜)や専用フードを与えることで、栄養価が向上します。
【餌のバリエーション】
- 昆虫食:コオロギ、デュビア、シルクワーム、カルシウムワームなど多様な昆虫を与える
- 草食:小松菜、チンゲン菜、カボチャ、ニンジンなどカルシウム豊富な野菜を中心に
- 雑食:昆虫と野菜をバランスよく組み合わせる
【避けるべき餌】
ホウレンソウやレタスは、シュウ酸が多くカルシウム吸収を阻害するため、主食には適しません。
対策④:適切な温度勾配と湿度管理
爬虫類の代謝機能は、温度に大きく依存します。
【温度勾配の作り方】
ケージ内に温度差を作ることで、爬虫類が自分で体温調節できるようにします。
- バスキングスポット:35〜40℃(種によって異なる)
- クールスポット:24〜28℃
バスキングライトとパネルヒーターを併用することで、効果的な温度勾配を作れます。
【湿度管理】
湿度も種によって適正値が異なります。
- 乾燥系(フトアゴヒゲトカゲ):30〜40%
- 熱帯系(カメレオン):50〜70%
- 水棲ガメ:水場と陸地の両方を確保
温湿度計をケージ内に設置し、定期的にチェックしましょう。
対策⑤:週1回の健康チェックを習慣化する
定期的な健康チェックは、くる病の早期発見に欠かせません。
【チェック項目】
- 体重測定:週1回同じ曜日に測定し、記録する。急激な体重減少は病気のサイン
- 食欲チェック:餌を食べる量や頻度を観察
- 歩行確認:ケージ内を歩かせて、バランスや後肢の力を確認
- 骨の触診:顎や四肢の骨を優しく触り、異常な柔らかさがないか確認
- 排泄物チェック:便や尿酸の状態を観察し、異常がないか確認
【記録の重要性】
体重や食欲の変化を記録しておくことで、異常を早期に発見できます。
スマートフォンのメモアプリや専用の飼育日誌を活用しましょう。
参考:ヒョウモントカゲモドキのクル病:原因から対策まで徹底解説
くる病になってしまったら?治療の流れと自宅ケア

万が一くる病を発症してしまった場合、早急な対応が回復の鍵となります。
以下に、治療の流れと自宅でできるサポートケアを解説します。
獣医に相談すべき症状の判断基準
以下のような症状が見られたら、すぐに爬虫類を診察できる動物病院を受診してください。
- 食欲が3日以上ない
- 後肢を引きずって歩く
- 体を持ち上げられず、腹部が地面についたまま
- 顎が腫れている、または口を閉じにくい
- 四肢や尾が不自然に曲がっている
- 震えや痙攣が見られる
- 甲羅が柔らかい(カメ類)
くる病は進行性の病気であり、放置すると命に関わる状態になります。
『様子を見よう』と判断せず、早めに専門家の診察を受けることが重要です。
動物病院での一般的な治療内容と費用目安
爬虫類専門の動物病院では、以下のような治療が行われます。
【診察・検査】
- レントゲン検査:骨密度の低下や変形を確認(費用目安:3,000〜5,000円)
- 血液検査:カルシウム・リン・ビタミンD濃度を測定(費用目安:5,000〜10,000円)
【治療内容】
- カルシウム注射:血中カルシウム濃度を急速に上げる(費用目安:2,000〜5,000円/回)
- ビタミンD3投与:経口または注射でビタミンD3を補給
- 痛み止め:骨の痛みを緩和するための鎮痛剤
- 栄養指導:飼育環境の改善アドバイス
【治療期間と費用】
初期段階であれば、数週間〜数ヶ月の治療で回復することが多いとされています。
総費用は、初診・検査・治療を含めて3万〜10万円程度が目安です。
重症の場合は、入院治療や継続的な通院が必要になり、費用はさらに高額になります。
自宅でできるサポートケアの方法
動物病院での治療と並行して、自宅でのケアも重要です。
【UVB照射の強化】
UVBライトを新品に交換し、照射時間を12時間程度に延長します。
【カルシウム補給】
獣医師の指示に従い、カルシウム剤を与えます。
液体カルシウムを使用する場合もあります。
【温度管理の徹底】
適温を維持し、代謝機能を正常化させます。
【ストレス軽減】
ケージ内を静かに保ち、過度なハンドリングは避けます。
【栄養価の高い餌】
ガットローディングした昆虫や、カルシウム豊富な野菜を与えます。
回復までの期間と後遺症の可能性
くる病の回復期間は、症状の重症度によって大きく異なります。
【初期段階】
適切な治療を行えば、数週間〜2ヶ月程度で症状が改善し、ほぼ完全に回復することが期待できます。
【中期段階】
骨の変形が見られる場合、3〜6ヶ月以上の治療が必要です。
軽度の変形は残る可能性がありますが、日常生活に支障がない程度まで回復することが多いとされています。
【重症段階】
全身の骨が軟化している場合、後遺症が残る可能性が高いです。
骨の変形が固定化し、歩行障害や摂食障害が生涯続くこともあります。
また、治療中に命を落とすリスクも高くなります。
参考:トカゲが歩きづらそう、元気や食欲がない (クル病、代謝性骨疾患)
くる病予防におすすめのアイテム紹介

くる病予防には、適切な飼育用品の選択が重要です。
以下に、初心者にも使いやすいおすすめアイテムを紹介します。
初心者におすすめのカルシウム剤3選
【1. ビタミンD3なしカルシウムパウダー】
毎日の給餌に使える安全なタイプです。
過剰摂取のリスクが低く、初心者でも扱いやすいとされています。
代表的な商品として、『レップカル カルシウム(ビタミンD3なし)』があります。
【2. ビタミンD3入りカルシウムパウダー】
週2〜3回の使用で、UVBライトと併用することで効果を発揮します。
代表的な商品として、『レップカル カルシウム+ビタミンD3』があります。
【3. 液体カルシウム】
食欲がない個体や、粉末を嫌がる場合に便利です。
水に混ぜたり、直接口に垂らして与えることができます。
代表的な商品として、『カルシウムリキッド』があります。
参考:爬虫類のくる病とは?初心者が知っておきたい予防法と危険な…
UVBライト選びの基本ポイント
UVBライトは、爬虫類の種類に応じて適切なものを選ぶ必要があります。
【蛍光管タイプ】
広範囲に紫外線を照射でき、コストパフォーマンスが高いです。
代表的な商品として、『レプティサン 10.0 UVB』や『ゾオメッド レプティサン 10.0』があります。
【水銀灯タイプ】
UVBとバスキングライトを兼ねることができ、大型ケージに適しています。
代表的な商品として、『ソーラーグローUV』があります。
【LEDタイプ】
長寿命で電気代が安く、近年人気が高まっています。
代表的な商品として、『アルカディア ジャングルドーン』があります。
【選び方のポイント】
- 飼育種のUVB要求量に合わせて選ぶ
- ケージサイズに適した照射範囲のものを選ぶ
- 交換時期を記録し、定期的に新品に交換する
爬虫類を診てくれる動物病院の探し方
爬虫類の診療は専門知識が必要なため、爬虫類診療の実績がある動物病院を選ぶことが重要です。
【探し方】
- インターネットで『爬虫類 動物病院 〇〇(地域名)』と検索
- 爬虫類専門店や飼育者コミュニティで情報収集
- 動物病院のホームページで『エキゾチックアニマル対応』を確認
【チェックポイント】
- 爬虫類の診療実績が豊富か
- レントゲン・血液検査などの設備があるか
- 緊急時の対応が可能か
- 飼育相談にも応じてくれるか
日頃から『かかりつけ医』を見つけておくことで、緊急時にも迅速に対応できます。
爬虫類のくる病に関するよくある質問

くる病に関して、飼育者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. くる病は完治しますか?
A: 初期段階であれば、適切な治療とケアによってほぼ完全に回復することが可能です。
しかし、中期〜重症段階では骨の変形が固定化し、後遺症が残る可能性が高くなります。
早期発見が何より重要であり、定期的な健康チェックが推奨されます。
Q. レオパはUVBライトなしでも大丈夫?
A: レオパードゲッコーは夜行性のため、従来は『UVBライト不要』とされていました。
しかし、近年の研究では低出力のUVBライト(2.0〜5.0%)があった方が健康維持に有効との見解が広まっています。
特に幼体や繁殖個体には、UVBライトの設置が推奨されます。
参考:ヒョウモントカゲモドキのクル病:原因から対策まで徹底解説
Q. カルシウムの与えすぎは危険?
A: カルシウム自体の過剰摂取は、比較的起こりにくいとされていますが、ビタミンD3入りのカルシウム剤の過剰使用は危険です。
ビタミンD3は脂溶性ビタミンであり、体内に蓄積して中毒を引き起こすリスクがあります。
ビタミンD3入りは週2〜3回程度にとどめ、それ以外の日はビタミンD3なしのカルシウムパウダーを使用しましょう。
Q. くる病と脱皮不全の見分け方は?
A: 脱皮不全は、古い皮膚が正常に剥がれず残っている状態で、骨の変形や歩行障害は見られません。
一方、くる病では骨の軟化・変形が主症状であり、脱皮とは無関係に発症します。
ただし、くる病で体力が低下すると、二次的に脱皮不全を併発することもあります。
Q. 予防にサプリメントは必須ですか?
A: 飼育下の爬虫類では、カルシウムサプリメントの使用が強く推奨されます。
野生下では多様な餌から自然にバランスよく栄養を摂取できますが、飼育下では餌の種類が限られるため、サプリメントでの補給が必要です。
特に成長期の幼体、妊娠中のメス、高リスク種(フトアゴヒゲトカゲ、イグアナなど)では、サプリメントは必須といえます。
参考:爬虫類のくる病とは?初心者が知っておきたい予防法と危険な…
まとめ|くる病は『予防できる病気』だからこそ正しい知識を
爬虫類のくる病は、適切な飼育環境と日々のケアによって予防可能な病気です。
以下のポイントを押さえて、大切なペットの健康を守りましょう。
- UVBライトの設置と定期交換:紫外線はビタミンD3合成に不可欠。6ヶ月ごとの交換を習慣化
- カルシウム補給の徹底:ビタミンD3なし/ありを使い分け、毎日または週数回の補給を実施
- 餌のバランスとガットローディング:栄養価の高い餌を与え、Ca:P比を整える
- 適切な温度・湿度管理:温度勾配を作り、代謝機能を正常に保つ
- 週1回の健康チェック:体重測定・食欲・歩行確認を習慣化し、早期発見に努める
くる病は、初期段階で発見すれば回復の可能性が高い病気です。
しかし、重症化すると命に関わり、後遺症が残ることもあります。
『予防できる病気』だからこそ、飼育者として正しい知識を持ち、日々のケアを怠らないことが重要です。
少しでも異変を感じたら、すぐに爬虫類を診察できる動物病院を受診しましょう。


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