爬虫類はどうやって呼吸しているの?そんな疑問を持ったことはありませんか。実は、カメ、トカゲ、ヘビ、ワニなど、爬虫類の種類によって呼吸の仕組みは大きく異なります。この記事では、爬虫類の肺の構造の基本から、種類ごとの呼吸方法の違い、さらには水中や陸上での呼吸の工夫まで、わかりやすく徹底解説します。爬虫類の驚くべき呼吸メカニズムを知れば、ペットとして飼育している方も、生き物好きの方も、もっと爬虫類が好きになるはずです。
爬虫類の呼吸の仕方は「肺呼吸」|まず押さえたい基本

爬虫類は全て肺呼吸を行う動物です。
カメ、ヘビ、トカゲ、ワニなど、すべての爬虫類は陸上でも水中でも肺を使って呼吸します。
両生類のような皮膚呼吸や、魚類のようなエラ呼吸は行いません。
爬虫類の体表は乾燥した角質化した鱗で覆われており、これが水分の蒸発を防ぐ一方で、皮膚を通じたガス交換を困難にしています。
そのため、爬虫類は約3億年前に陸上進出を果たした際、肺呼吸に完全に依存する進化を遂げました。
肺呼吸とは、空気中の酸素を肺に取り込み、血液を通じて全身に運ぶ呼吸方法です。
爬虫類の肺は比較的シンプルな構造をしていますが、陸上生活に十分適応しています。
皮膚呼吸・エラ呼吸はしない理由
爬虫類が皮膚呼吸やエラ呼吸を行わない理由は、その体表構造にあります。
爬虫類の体表は角質化した鱗で覆われており、ガス交換に必要な透過性がほとんどありません。
鱗は乾燥環境での水分保持には優れていますが、酸素や二酸化炭素を通しにくい構造です。
一方、両生類は湿った薄い皮膚を持ち、そこからガス交換が可能です。
また、エラ呼吸は水中の溶存酸素を利用する仕組みであり、陸上生活を主とする爬虫類には不要な器官となりました。
ただし、一部の水生カメは総排出腔周辺の皮膚からわずかにガス交換を行うことが知られていますが、これはあくまで補助的な役割に過ぎません。
参考:皮膚呼吸 – 維基百科
水中で暮らすカメやワニも肺呼吸という事実
水中で生活するカメやワニも、実は肺呼吸を行っています。
これは一見矛盾しているように思えますが、彼らは定期的に水面に上がって空気を吸う必要があります。
ワニは水中で最大2時間程度潜水できるとされており、これは代謝を抑えることで酸素消費を減らしているためです。
水生カメの中には、冬眠時に総排出腔周辺の皮膚から微量のガス交換を行う種もいますが、これも肺呼吸の補助に過ぎません。
また、最近の研究では、一部のトカゲが鼻先で空気の泡を作り、その中の酸素を再吸入する『泡呼吸』を行うことが確認されています。
これはスキューバダイビングに似た仕組みで、水中での滞在時間を延ばす工夫です。
参考:鼻から『泡』を吹いて水中呼吸できるトカゲ – ナゾロジー
爬虫類の呼吸器官と仕組みを図解で解説

爬虫類の呼吸器官は、哺乳類や鳥類と比べてシンプルな構造をしています。
しかし、そのシンプルさゆえに、肋骨や筋肉を巧みに使った独自の呼吸メカニズムを発達させました。
以下では、爬虫類の肺の構造、肋骨を使った呼吸の仕組み、そして横隔膜がないことによる影響について解説します。
爬虫類の肺の構造|哺乳類との違い
爬虫類の肺は、哺乳類に比べて内部構造が単純で、肺胞の数が少ないのが特徴です。
哺乳類の肺は気管支が細かく枝分かれし、末端に無数の肺胞があることでガス交換の効率を高めています。
一方、爬虫類の肺は袋状の構造で、内壁に小さなひだや仕切りがあるものの、哺乳類ほど複雑ではありません。
トカゲやヘビの肺は比較的シンプルで、内部が大きな空洞になっている種も多く見られます。
興味深いことに、一部のトカゲは鳥類と同様に『一方向流の呼吸』を行うことが近年の研究で明らかになっています。
これは、空気が肺内を一方向に流れることで、吸気時と呼気時の両方で効率的にガス交換を行う仕組みです。
参考:呼吸法で活動量が増える『一方向流の呼吸』を使う動物の正体

肋骨を使った呼吸のメカニズム
爬虫類は肋骨を広げたり閉じたりすることで胸腔の容積を変化させ、空気を肺に出し入れします。
具体的には、肋骨を外側に広げると胸腔内が陰圧になり、空気が肺に流れ込みます(吸気)。
逆に肋骨を閉じると胸腔内が陽圧になり、空気が押し出されます(呼気)。
この呼吸方法は『肋骨呼吸』または『胸式呼吸』と呼ばれ、爬虫類に共通する基本的な呼吸パターンです。
トカゲやワニは発達した肋骨と筋肉を持ち、この方法で効率的に呼吸を行います。
ただし、カメのように甲羅で肋骨が固定されている種では、別の方法を採用しています(後述)。
参考:爬行动物 – 维基百科
横隔膜がない爬虫類はどう呼吸する?
爬虫類には哺乳類のような横隔膜がありません。
横隔膜は胸腔と腹腔を分ける筋肉の膜で、哺乳類の呼吸において重要な役割を果たしています。
爬虫類は横隔膜の代わりに肋骨と肋間筋を使って胸腔の容積を調節します。
一部のワニには横隔膜に似た『横隔膜様構造』が存在しますが、哺乳類の横隔膜ほど発達していません。
また、爬虫類の中でも両生類に近い原始的な種では、口腔底を上下させて空気を肺に押し込む『喉ポンプ運動』を併用することがあります。
これは両生類に見られる呼吸法で、爬虫類の進化の過程を示す興味深い特徴です。
【種類別】カメ・ヘビ・トカゲ・ワニの呼吸の特徴

爬虫類は種類によって体の構造が大きく異なり、それに応じて呼吸方法にも独自の特徴があります。
ここでは、カメ、ヘビ、トカゲ、ワニの4つのグループに分けて、それぞれの呼吸の仕組みを詳しく解説します。
カメの呼吸|甲羅があるのにどう呼吸する?
カメは硬い甲羅に覆われているため、肋骨を動かして呼吸することができません。
そのため、カメは腹部の筋肉や四肢の動きを使って肺を膨らませたり縮めたりする独自の呼吸法を発達させました。
具体的には、前肢を引っ込めることで胸腔内の圧力を高め、呼気を促します。
逆に前肢を伸ばすことで胸腔が広がり、吸気が行われます。
また、水生カメの中には総排出腔周辺の皮膚から補助的にガス交換を行う種もいます。
特に冬眠中は代謝が低下し、この補助的な呼吸だけで長期間過ごすことができます。
参考:爬行動物 – 維基百科
ヘビの呼吸|片方の肺だけで生きる理由
ヘビは細長い体型をしているため、多くの種で右肺だけが発達し、左肺は退化または消失しています。
右肺は体の前方から中央部にかけて伸びており、細長い体に収まるように進化しました。
ヘビは肋骨を動かして呼吸を行いますが、獲物を飲み込む際には口が塞がれるため、声門を口の端から突き出して呼吸を続けることができます。
これにより、大きな獲物を飲み込む長い時間でも窒息することなく呼吸が可能です。
また、ヘビの肺の後部は『気嚢』のような構造になっており、空気を一時的に貯蔵する役割を果たしています。
トカゲの呼吸|最も基本的な爬虫類の呼吸パターン
トカゲは爬虫類の中で最も標準的な呼吸方法を持つグループです。
発達した肋骨と肋間筋を使って胸腔を広げたり縮めたりすることで、効率的に呼吸を行います。
トカゲの肺は左右対称で、内部構造も比較的シンプルです。
近年の研究では、一部のトカゲ(特にオオトカゲ類)が鳥類と同様の『一方向流の呼吸』を行うことが確認されています。
この呼吸法により、吸気時と呼気時の両方でガス交換が可能になり、活動量を増やすことができます。
また、トカゲは緊張すると呼吸の速度が変化することが知られており、喉の動きを観察することで呼吸状態を確認できます。
参考:香港物種 – 爬行類

ワニの呼吸|水中で2時間潜れる驚きの仕組み
ワニは水中と陸上の両方で生活するため、高度に発達した呼吸システムを持っています。
ワニの肺は爬虫類の中でも特に複雑で、内部に多数の仕切りがあり、ガス交換の効率が高いのが特徴です。
また、ワニには『横隔膜様構造』と呼ばれる筋肉があり、これが肺の動きを助けています。
水中では、ワニは代謝を大幅に低下させることで酸素消費を抑え、最大2時間程度の潜水が可能です。
さらに、ワニは鼻孔を水面上に出すだけで呼吸できる構造を持ち、体のほとんどを水中に隠したまま待ち伏せすることができます。
このような特徴により、ワニは水中での狩猟に非常に適応した爬虫類といえます。
爬虫類と両生類・魚類・哺乳類の呼吸方法を比較

爬虫類の呼吸を理解するには、他の動物グループとの違いを知ることが重要です。
ここでは、両生類、魚類、哺乳類・鳥類との呼吸方法の違いを詳しく比較します。
両生類との違い|皮膚呼吸の有無がポイント
両生類(カエル、イモリなど)は肺呼吸と皮膚呼吸を併用します。
特に皮膚呼吸は重要で、種によっては全体のガス交換の50%以上を皮膚が担っています。
一方、爬虫類は角質化した鱗で覆われており、皮膚呼吸はほぼ行いません。
また、両生類の肺は比較的単純で、肋骨も未発達なため、口腔底を上下させて空気を肺に押し込む『喉ポンプ運動』を主な呼吸法としています。
爬虫類は肋骨を使った胸式呼吸を行うため、この点でも大きな違いがあります。

魚類との違い|エラ呼吸と肺呼吸の決定的な差
魚類はエラ(鰓)を使って水中の溶存酸素を取り込む呼吸を行います。
エラは水流を通すことでガス交換を行う器官で、空気中では機能しません。
一方、爬虫類は肺を使って空気中の酸素を直接取り込むため、陸上での生活に完全に適応しています。
水中で暮らす爬虫類(カメやワニ)も、定期的に水面に上がって空気を吸う必要があります。
ただし、一部の魚類(肺魚など)は肺を持ち、空気呼吸を行うことができますが、これは例外的な存在です。
哺乳類・鳥類との違い|呼吸効率の比較
哺乳類は横隔膜と肋骨を使った高効率の呼吸を行います。
肺は細かく枝分かれした気管支と無数の肺胞を持ち、ガス交換の表面積が非常に広いのが特徴です。
鳥類はさらに進化しており、『気嚢』という特殊な構造を持ち、吸気時と呼気時の両方でガス交換を行う『一方向流の呼吸』を実現しています。
これにより、鳥類は高地での飛行など、酸素が薄い環境でも活動できます。
一方、爬虫類の肺は比較的シンプルで、呼吸効率は哺乳類や鳥類に劣ります。
ただし、前述の通り一部のトカゲは鳥類と同様の一方向流の呼吸を行うことが明らかになっており、爬虫類の進化の多様性を示しています。

【比較表】動物グループ別の呼吸方法一覧
以下の表は、各動物グループの呼吸方法をまとめたものです。
| 動物グループ | 主な呼吸方法 | 補助的呼吸 | 呼吸器官の特徴 |
|---|---|---|---|
| 魚類 | エラ呼吸 | なし(一部肺魚は肺呼吸) | 水中の溶存酸素を利用 |
| 両生類 | 肺呼吸 | 皮膚呼吸(重要) | 喉ポンプ運動、湿った皮膚 |
| 爬虫類 | 肺呼吸 | なし(一部カメは総排出腔) | 肋骨による胸式呼吸、鱗で覆われた体 |
| 哺乳類 | 肺呼吸 | なし | 横隔膜と肋骨、高密度の肺胞 |
| 鳥類 | 肺呼吸 | 気嚢による一方向流 | 吸気時・呼気時両方でガス交換 |
この表からわかるように、爬虫類は肺呼吸に完全に依存し、皮膚呼吸をほとんど行わない点が最大の特徴です。
なぜ爬虫類は肺呼吸に進化したのか

爬虫類が肺呼吸を獲得した背景には、約3億年前の陸上進出と環境適応があります。
ここでは、進化の歴史と生物学的意義について解説します。
約3億年前の陸上進出と呼吸の関係
爬虫類の祖先は、約3億年前の石炭紀に陸上進出を果たしました。
それ以前は、両生類のように水辺に依存した生活を送っていましたが、陸上での生活に完全に適応するためには、効率的な肺呼吸が不可欠でした。
皮膚呼吸は湿った環境でしか機能しないため、乾燥した陸上では限界がありました。
爬虫類は肺の構造を改良し、肋骨を使った効率的な呼吸メカニズムを発達させることで、この問題を解決しました。
また、羊膜卵(硬い殻を持つ卵)の進化により、水辺に戻らなくても繁殖できるようになったことも、陸上進出の大きな要因です。
乾燥環境への適応と鱗の役割
爬虫類の体表を覆う角質化した鱗は、水分の蒸発を防ぐための重要な適応です。
両生類のような湿った皮膚では、乾燥環境で急速に水分を失ってしまいます。
鱗は体内の水分を保持する一方で、ガス交換を妨げるため、皮膚呼吸ができなくなりました。
その結果、爬虫類は肺呼吸に完全に依存する進化の道を選びました。
この適応により、爬虫類は砂漠や乾燥地帯など、両生類が生存できない環境にも進出できるようになりました。
参考:香港物種 – 爬行類
【飼育者向け】爬虫類の呼吸で注意すべきポイント

爬虫類をペットとして飼育する場合、呼吸の状態を観察することは健康管理の基本です。
ここでは、正常な呼吸の見分け方、異常なサイン、そして呼吸トラブルを防ぐ環境設定について解説します。
正常な呼吸状態の見分け方
健康な爬虫類の呼吸は静かで規則的です。
トカゲやヘビの場合、喉や胸の部分がゆっくりと上下し、1分間に10〜30回程度の呼吸が一般的です(種や体温によって変動します)。
呼吸時に音が聞こえない、口を開けていない、体の動きがスムーズであることが正常な状態の目安です。
また、活動後や食後は一時的に呼吸が速くなることがありますが、これは正常な反応です。
カメの場合は、前肢の動きや甲羅内部のわずかな動きを観察することで呼吸を確認できます。
要注意!異常な呼吸のサイン5選
以下の症状が見られた場合は、呼吸器系の疾患の可能性があります。
- 口を開けて呼吸する:通常、爬虫類は鼻で呼吸します。口呼吸は鼻詰まりや肺炎の兆候です。
- 呼吸時に『ゼーゼー』『ヒューヒュー』という音がする:気道の閉塞や粘液の蓄積を示唆します。
- 呼吸が異常に速い、または遅い:感染症やストレス、温度異常の可能性があります。
- 鼻や口から泡状の分泌物が出る:肺炎や上部呼吸器感染症の典型的な症状です。
- 首を伸ばして苦しそうに呼吸する:重度の呼吸困難を示す危険なサインです。
これらの症状が見られた場合は、速やかに爬虫類を扱える獣医師に相談してください。
呼吸トラブルを防ぐ飼育環境の基本
爬虫類の呼吸器系疾患の多くは、不適切な温度と湿度が原因です。
爬虫類は変温動物であり、体温は環境温度に左右されます。
適切な温度範囲(多くの種で25〜30℃)を維持することで、免疫機能と呼吸機能が正常に働きます。
湿度も重要で、種によって50〜70%程度が適切ですが、砂漠性の種はより低く、熱帯性の種はより高い湿度を必要とします。
また、ビタミンA不足は呼吸道上皮細胞の異常を引き起こし、感染症のリスクを高めるため、適切な栄養管理も重要です。
飼育ケージの清潔さを保ち、ストレスを最小限にすることも、呼吸器系の健康維持に役立ちます。
爬虫類の飼育を検討中の方へ

これから爬虫類を飼育しようと考えている方に向けて、呼吸管理がしやすい初心者向けの種類を紹介します。
呼吸管理がしやすい初心者向けの種類3選
1. ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)
呼吸の観察がしやすく、丈夫で環境適応力が高い種です。
温度管理も比較的簡単で、初心者に最適です。
2. フトアゴヒゲトカゲ
人懐っこく、呼吸の異常も見つけやすい中型のトカゲです。
適切な温度と湿度を維持すれば、呼吸器系のトラブルは少ない種です。
3. コーンスネーク
ヘビの中でも飼育しやすく、呼吸器系疾患のリスクが低い種です。
温度と湿度の管理が適切であれば、長期飼育が可能です。
これらの種は、呼吸の観察がしやすく、環境管理の失敗にも比較的寛容なため、初めての爬虫類飼育に適しています。
まとめ|爬虫類の呼吸の仕方を正しく理解しよう

爬虫類は全て肺呼吸を行う動物であり、皮膚呼吸やエラ呼吸は行いません。
肋骨を使った胸式呼吸が基本ですが、カメ、ヘビ、トカゲ、ワニなど、種類によって独自の呼吸メカニズムを発達させています。
爬虫類の呼吸について理解すべき重要なポイントは以下の通りです。
- すべての爬虫類は肺呼吸を行う:水中で暮らす種も、定期的に空気を吸う必要があります。
- 皮膚呼吸はほぼ行わない:角質化した鱗がガス交換を妨げています。
- 種類によって呼吸方法が異なる:カメは四肢の動き、ヘビは片肺、ワニは横隔膜様構造を活用します。
- 飼育時は温度と湿度が重要:不適切な環境は呼吸器系疾患のリスクを高めます。
- 異常な呼吸のサインを見逃さない:口呼吸、音がする呼吸、分泌物などは要注意です。
爬虫類の呼吸の仕組みを正しく理解することで、飼育管理や健康観察がより的確に行えるようになります。
これから爬虫類を飼育する方も、すでに飼育している方も、日々の観察を通じて彼らの呼吸状態に注意を払い、快適な環境を提供してあげてください。


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